クールな母の日
中華点心が有望なのは、スナック=おやつであり食事の代わりにもなるしお酒のつまみにもなるからだ。
昼は点心ランチ、アイドルタイムには飲茶を売り、夜はお酒を楽しんでもらうお店として、営業時間をフルに活用できることになる。
営業効率からいって、大きな魅力である。
お客の立場から見れば、一品当たりの単価が低ければ予算をコントロールしやすい、というメリットもある。
逆にいえば、メニュー単価を低く設定することが、成功のポイントになるわけだ。
この業種の問題は、商品力である。
点心は中国料理のなかでも特殊な分野のため、一般の料理については1人前の職人でも、特別な修業をしていなければ、点心全般はつくることができない。
そのため、大型飯店などでは人材の確保と人件費のジレンマに苦しんでいるのだが、この点については、心配はない。
業務用としてすでに、ほとんどのアイテムが冷凍品の形で製品化されているからだ。
冷凍品といっても、いまは馬鹿にできない。
業務用の品質はかなり向上しているし、完全な手づくりのメーカーもある。
有名飯店やホテルでも、職人のいないお店はけっこうあるのだ。
問題は、どのメーカーの製品を使うか、ということになる。
したがって、できるだけ多くのメーカーからサンプルを取り寄せ、手づくり感と味を基準にじっくりと選ぶことが大切である。
また、このお店では、テイクアウトにも力をいれるべきである。
どうしても料理メニューが捨て難いというなら、麺ではなく料理のほうをメインにするお店に徹すればいい。
この小皿料理と麺のお店である。
といっても、当たり前の炒めものや旨煮を出すだけでは、料理を看板にする意味がない。
もちろん、そういうお店もたくさんあるわけだが、それで成功するのはむずかしいということだ。
つまり、どこにでもある大衆中国料理店とは明らかに違うお店にする必要があるわけだ。
その差別化の武器として有効なのが、小皿料理のメニューとスタイルである。
小皿料理のメニューには大きく分けて、中国風、台湾風、エスニック風の3つのやり方があるが、○○風といっても、シャクシ定規に考える必要はない。
たとえば、ある繁盛店は「中国杭州風料理」を看板にしているが、厳密な意味での「杭州料理店」のわけではない。
中国の杭州は古くから料理の都として知られ、近くには紹興酒とお茶の名産地がある。
「杭州風」というのは、そのイメージで商品づくりをしているというほどの意味である。
紹興酒はカメ入りの本格的なものを置いているが、手頃な予算でいろいろな料理と紹興酒を楽しめるというのが、お店のコンセプトである。
エスニック風や無国籍料理風にすれば、メニューの幅はもっと広がる。
台湾や東南アジア各地の料理を研究すれば、簡単に導入できるいろいろなメニューのアイデアが湧いてくるはずである。
ちょっと変わった料理の材料を替えてみるとか、ひと工夫するだけで、たちどころにオリジナルメニューができあがる。
研究には本を読むことも大切だが、まずいろいろなお店で食べてみることだ。
小皿で提供するスタイルはいうまでもなく、グレージングニーズに対応するためである。
小皿で一品当たりの単価が低ければ、お客はいろいろな料理を楽しめる。
たとえば、2人客で5、6品、4人客で10〜12品というオーダーになる。
それらの料理を食べる間にアルコール類を飲んでもらえるから、客単価としてはけっこう稼げる。
お客のほうは、いろいろな料理とお酒も楽しんでいるから、多少客単価が上がっても「高くついた」という印象はない。
むしろ、お値打ち感の高いお店という印象を持つ。
そこが狙い目である。
麺類は2、3品目もあれば十分。
料理とお酒を楽しんだ後に食べるわけだから、1人前の量は少なめに設定するといい。
ただし、このお店は素人の付け焼き刃の調理技術だけでは危険である。
中国料理の経験がないのなら、ある程度の技術を持った職人を雇って、確かな味づくりをすることが、成功の第一条件になる。
客単価は確保できるのだから、あとは客数である。
立地を含めて、確実に料理人の人件費をクリアできるコンセプトを煮詰める必要がある。
ラーメンは、老若男女のどの層からも愛されているメニューである。
その客層の幅広さと分厚さは、日本の代表的な伝統食であるそば.うどんをはるかに凌ぐ。
何度もいうようだが、日本人はラーメン大好き人間であり、圧倒的な人気メニューなのである。
それなのに、大半のラーメン店はごく一部の客層しか想定していないかのようなのだ。
極端にいえば、現在のラーメン店業界は、競合するお店が寄っていたかって、限られたニーズの奪い合いをしているというのが現状だ。
これでは成功率が低くなって当然だろう。
いまのラーメン店が見失ってしまっている客層はファミリー客である。
かつてラーメン店は、家族が気軽に外食を楽しめる代表的な業種のお店だった。
いつの間にかダメになってしまった。
どうしてなのか。
あの頃は貧しい時代だったからだ、という人は多いが、結果のみを見てくっつけた理屈でしかない。
たしかに、あの時代は世の中全体が貧しかったし、外食といっても選択肢は少なかった。
ラーメンが貧しい食べ物なのなら、この豊かな時代になぜ、これだけの人気があるのだろうか。
また、ファミリーレストランの台頭は外食の流れを大きく変えた事件だったが、その間、ラーメン店がこぞって不振をかこっていたわけでもない。
バブル以前もバブルの最中にも、その後もずっと、ラーメンは人気メニューであり続けている。
みなラーメンが大好きなのだ。
ただ、ラーメン店がファミリー客から見放されてしまっただけである。
もちろん、それには理由がある。
ファミリー客が入らないのは、ファミリーの食事の場としての魅力がないからだ。
大体、店舗からしてまさに、昔の貧しい時代をひきずっているお店が多い。
といっても、誤解してはいけない。
何もファミリーレストランのような店舗スタイルにしろというのではないのだ。
ファミリー客にとってまず大事なのは、安心して家族団欒を楽しめる雰囲気である。
家族全員が楽しめるメニューがなくてはならないのだが、この点ではラーメン店は心配ない。
問題は、団欒の場としてふさわしい雰囲気づくりである。
店舗を洋風にする必要などさらさらないし、高級感を付加する必要もない。
店舗については、清潔感があり、明るくシンプルなつくりであれば十分である。
必要なのは、お客を包み込む温かみなのだ。
当然のことだがファミリー客は、若い人たちや男性客と違って、さっと食べてさっと帰るというわけにはいかない。
たしかに、さっと帰るお客ばかりなら客席の回転効率はいい。
回転効率が気になるようなピーク時が、1日のなかでどれくらいあるのかを考えてみよう。
結局、ファミリー客が入らないのは、お店の側に「どうぞごゆっくり」という配慮が感じられないからなのである。
このことをじっくりと考えてみることだ。
一般に飲食店では、午後の2時(立地などによっては3時)から5時までの時間帯をアイドルタイムと呼んでいる。
要するに、お客が少ない時間帯のことである。
常識的には食事動機が発生しない時間帯なのだから、お客が少なくて当然ともいえる。
この時間帯にも家賃は払っているのだし、人件費も発生している。
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